アレルギー科
アレルギー科
専門診療時間帯(14:00-16:00)…時間予約制:1か月前から予約可能です。
赤ちゃんの湿疹・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性鼻炎・花粉症などアレルギー疾患の専門診療を行います。アレルギー性鼻炎・花粉症の治療は保護者の方もご対応いたします。
学校を対象にした調査によるとお子さんの5%程度が気管支喘息・アレルギー性鼻炎・食物アレルギーに罹患しており、アレルギー性鼻炎は10%程度と報告されています。アレルギー性鼻炎は今や成人の50%程度の方が罹患している「国民的な疾患」です。一方で、アレルギー疾患治療に精通した小児のアレルギー専門医は2017年時点では、1100名程度しかおらず、残念ながらすべての患者さまが「専門医による治療」を受けられているわけではありません。私たちは「アレルギー専門医が推奨する治療指針」に精通した専門家として、適切にアレルギー疾患を診断し、管理方針をご提示します。
赤ちゃんは湿疹を起こしやすいものです。「乳児湿疹」と称されますが、汗など刺激が原因となっている方や、アトピー性皮膚炎の方などが色々なタイプの方がいらっしゃいます。多くは月齢とともに湿疹を起こしづらくなります。一方で、なかなか改善しない赤ちゃんもおり、そのような赤ちゃんを持つ保護者の方からは「良くならない」「ステロイド軟膏をずっと塗っているけど大丈夫なの?」「強い軟膏にしておくからと言われたけど副作用は大丈夫?」といった不安の声が聞かれます。
この外来では、湿疹がなかなかよくならない赤ちゃんを持つ保護者の方へ「スキンケア」と「軟膏塗り方」を丁寧にお伝えし、「自信を持って自己管理できるようになること」を目標にしています
ご予約はWeb予約の「アレルギー外来」からお願い致します。
2014年に日本からの報告で、アトピー性皮膚炎発症のリスクが高い赤ちゃん(ご両親いずれかもしくは兄弟がアトピー性皮膚炎に罹患)に対して、保湿剤を塗布する事で、湿疹の頻度が抑えられることが報告されました。この論文を機に赤ちゃんに保湿剤を塗ることはとても重要な事であると認識されるようになりました。しかし、その後に行われたリスクを持たない赤ちゃんも対象としたヨーロッパでの調査では、残念ながら必ずしも湿疹やアトピー性皮膚炎の予防効果は認められませんでした。つまり、保湿剤を塗布する事はアトピー性皮膚炎発症のリスクを持つ一部の赤ちゃんでは有効ですが、その他の赤ちゃんでは、あまり恩恵が得えられるわけではないと考えられます。
保湿剤の塗布が注目されたもう一つの理由として、食物アレルギーとの関連があります。これは、経皮感作といって、皮膚(とくに湿疹)が食物アレルギー発症のきっかけとなるという機序があるからです。保湿により皮膚のバリアをよくすると、この感作機序による食物アレルギー発症を減らせるのではないかと、現在多くの研究が行われています。しかし、現在のところ、そのような効果は認められておりません。
このような背景を鑑みて、当院ではすべての赤ちゃんにとりあえず保湿をするということはせず、赤ちゃんの皮膚の状態やご家族のアレルギー疾患歴をお聞きし、お子さんのアトピー性皮膚炎のリスクを評価した上で、保湿剤の処方をすべきかどうか判断いたします。
本来は無害であるはずの食物に対して、過剰に反応してしまうことで食物アレルギーが起こります。年齢により、原因食物が異なり、乳幼児期には鶏卵・牛乳・小麦が大半を占めますが、学童期となるとクルミや甲殻類などの頻度が増加します。食物アレルギーの診断は、「何を」「どのように食べて」「食べてからどのくらいで」「何をしていた時に」「どんな症状」を呈されたか、お聞きすることから始まります。その上で、アレルギー検査を行い、原因となる食物を突き止めてゆきます。
当院では、できる限り原因食物を特定し、「必要最低限の食物除去」にとどめるという治療指針に沿った対応をいたします。お子さんでは、保護者の方がアレルギー症状を危惧するあまり、自己判断で食物除去をしてしまうことが見受けられます。一見安全なように思われますが、お子さんが成長し、お友達の家などの保護者の方の目の届かないところで、初めて食べてしまう可能性もあり、決して安全ではありません。また、食物摂取を遅らせること自体が食物アレルギー発症に寄与している可能性が示唆されている点でも推奨できません。食事はお子さんが社会生活を送る上でも非常に重要であり、「生活の質」を上げるためにも、正しい診断に基づく「必要最低限の除去」を基本方針としています。
食物アレルギーが心配となり、特定の食物摂取を遅らせることが過去にありました。しかし、現在は5-6か月の離乳食を開始する時期から様々な食物を摂取することがアレルギー発症予防に一役買っている可能性が示されており、特定の食物摂取を遅らせることは推奨されていません。また、スクリーニング検査としてアレルギー検査をして、検査結果を見てから食物の摂取を始めようとお考えの方もおられます。しかし、アレルギー検査で陽性となっても実際には症状を呈さずに摂取できる方が数多くいることが知られています。さらには前述のように、食物摂取の開始時期の遅れがアレルギー発症の一因となる可能性もあることから、「スクリーニング検査としてアレルギー検査を用いる」ことはお勧めしておりません。
かゆみを伴う湿疹が慢性的に続く疾患です。「湿疹」は皮膚に起きた炎症で、発赤・ざらざら・鳥肌様など色々な形態を呈します。「慢性的」は1歳未満のお子さんでは2か月・それ以降では6か月が目安です。
「皮膚のバリア機能障害」と言って、皮膚内に水分を保持する力が弱く、外からの刺激が皮膚内に到達しやすい状態の方が発症しやすいと考えられています。0歳台で発症する頻度が高く、3歳頃には寛解することの方が多いですが、重症の方は、治りにくく、大人まで持ち越すことがあります。また、広範囲の炎症のため、適切に治療しないと体重増加不良などの深刻な合併症を引き起こすことがあります。
当院での治療方針は「スキンケア」「ステロイド軟膏」「悪化要因の除去」の3本柱で行います。
軟膏の塗布方法は治療成功のために非常に重要ですので、当院では、実際に軟膏をお持ちいただき、スタッフと一緒に塗布することも可能ですのでご相談ください。
普段は健康なお子さんと変わりはありませんが、空気の通り道である気道が何かをきっかけに細くなり、呼吸がしづらくなる病気です。気道にアレルギーによる慢性的な炎症が起こっていることが原因で、適切な治療を行わないと気道がますます過敏になり、風邪や運動などの軽微な刺激によって容易に呼吸が苦しくなることがあります。
「ヒューヒューする呼吸音(喘鳴)」が「繰り返す」ことが特徴ですが、聴診器を用いないと聞き取れないことも多く、長引く咳・呼吸が苦しそうなどをきっかけに保護者の方が疑われることが多いと思います。お子さんでは、血液検査などの客観的な検査で喘息かどうか白黒つけることは現在までできません。このため、調子の悪いときに、診察を受けていただき、「喘鳴」を繰り返していることを確認することが、最も早期に正確に診断する方法です。
気管支喘息の治療は「悪化要因の除去」・「予防薬」・「運動療法」の3本柱で行います。
お子さんが集団生活や習い事・スポーツなどで、喘息による支障がなくなることを治療目標としています。
アレルギー性鼻炎は「くしゃみ」・「鼻水」・「鼻詰まり」を発作性に起こす鼻アレルギー疾患です。お子さんでは、イエダニが原因となっていることが多く、「朝に布団から起き上がると鼻水・鼻づまりが酷い」などのエピソードをよくお聞きします。2019年度の調査では成人の2人に1人が罹患されていますが、5歳以下のお子さんでは20人に1人程度しか発症されていません。このため、典型的な症状の有無と年齢を考慮した上で、診断のための検査や治療を提案します。
軽度の鼻水に対しては眠気の少ないタイプの抗ヒスタミン薬を使用します。
加えて、くしゃみや鼻漏(鼻水が垂れて困っている状態)がある方には、鼻噴霧用のステロイド薬を用います。
鼻噴霧用のステロイド薬は安全性が高く、お子さんでも使用できますが、正しい方法で使用しないと十分な効果が得られません。当院では使用方法も含めて説明をいたします。
また、当院では舌下免疫療法というアレルギー性鼻炎の症状を軽減する治療も行っています。保険診療が可能なのがスギとダニの2種類のみになりますが、ご希望がある方はお気軽にお問い合わせください。
免疫療法は、症状に合わせた対症療法ではなく、根本的にダニやスギのアレルゲンに対してアレルギー症状を起こしにくくする、唯一の治療法です。舌下免疫療法はアレルギー患者さまでも症状を起こさないくらい微量の抗原エキスを舌の下に数分間保持して行う治療です。副作用も少なく、毎日家庭で治療を行うことで、6、7割の方に症状の軽減を認めています。この治療は認可を受けた医師のみが実施できます。当院ではアレルギー性鼻炎と診断を受けた方の治療を行います。治療はお子さん(5歳前後)から成人の方まで可能です。ご希望の方はご相談ください。