おたふくかぜ
- 2023年8月25日
- 小児科
まだまだ残暑が続いていますね。8月はいくつか学会に参加したので、勉強したことを記載したいと思います。
まず、おたふくかぜです。コロナの流行に伴い、患者さんの数は減っていましたが、このところ、ちらほら来院されます。
おたふくかぜは「ムンプスウイルス」による全身性ウイルス感染症により起こる、耳下腺炎です。
ウイルスに感染後、約20日前後で症状を呈します。全身性といっても4人に1人の方は片方しか腫れません。
感染しても1歳頃のお子さんは20%程度しか発症せず、4歳以降になると90%以上が発症するなど、年齢により発症率が異なり、平均すると感染された方の7割程度が発症します。
多くの方が特に合併症なく改善します。しかし、頻度は少ないながら、頭の近くで炎症を起こす髄膜炎や脳炎、難聴を起こすことがあり、入院が必要になったり、後遺症を残したりする可能性があるため注意が必要です。
特に難聴は大きな問題で日本では年間150人以上の方が、おたふくにより難聴になっているとの報告があります。難聴の程度もひどく、90%以上の方が人工内耳や補聴器が必要となりました。
おたふくの治療は対処療法しかありませんが、ワクチンで予防可能であり、とても有効です。
実は122か国で定期接種がされており、先進国では日本のみ定期接種化していません。
任意接種のため、接種率は1歳代で40-60%程度とあまり高い状況ではなく、流行を抑えることはまだまだ、難しい接種状況です。今後定期接種になってほしいですね。