新型コロナ感染症により入院したお子さんのデータ
- 2022年9月17日
- 小児科
2022年8月に国立成育医療研究センターの先生方が2021年から約2年間の間に入院を要し
たお子さんのデータを報告されています 1 。
日本では2022年1月以降デルタ株に変わってオミクロン株による感染が主流となっていますが、この研究はデルタ株とオミクロン株流行期に入院を要した患者さんのデータベースを活用し、その特徴を比較した興味深いものです。
主な結果は
・デルタ株の流行期に比べて、オミクロン株流行期になってから38℃以上の発熱・痙攣発作を呈した患者さんの数がより多かった
・ICUに入室するような重症患者さんや肺炎を呈した患者さんの頻度は2つの流行期間で統計学的な有意差はなかった。
・死亡例はいなかった。
・肺炎を呈した患者さんの割合は全体の期間を通して約2%程度だった。
・酸素投与・ICU入室・人工呼吸のいずれかを要した方43名は1人もワクチン2回接種していなかった。
結論として、オミクロン株に置き換わり、お子さんの発熱や痙攣の頻度は増加したものの、重症度は大きく変わらず、良好な予後の疾患であるとのことです。
この研究は、お子さんのワクチン接種が開始してから間もない時期のデータであり、新型コロナワクチン接種により、どの程度予防効果が得られるのか評価は困難です。
本論文含め、これまでの研究結果からは、新型コロナは現在のところお子さんにとって、非常に恐ろしい疾患とは考えなくても良さそうです。
しかし、最近のお子さんでの脳症や死亡例などの報道も鑑みて、当院ではワクチン接種を引き続き推奨しております。
1. Shoji K, Akiyama T, Tsuzuki S, et al. Clinical characteristics of COVID-19 in
hospitalized children during the Omicron variant predominant period. J Infect Chemother 2022.